5月号 『十二人の怒れる男!閉幕。』

【十二人の怒れる男!閉幕。】

皆様こんにちは。
すっかり気候は夏ですね。
毎日汗ばむ季節になりました。

さてさて、そんな5月22日(日)ゴツプロ!第7回公演「十二人の怒れる男」無事に閉幕することが出来ました。
ご来場頂いた皆様本当にありがとうございました。
応援して頂いた皆様、しっかりと劇場に届いておりました。
感謝しかないです。
今月号を書くにあたり、去年の今頃だったり、今年に入ってからの「月刊ゴツプロ!」を読み返しました。
いろんなことが思い出され、またロスに拍車がかかった次第であります(笑)
はー、終わってしまいました。
先月号で「来月の今頃は終わっている。きっと早いだろうな。」みたいなことを書いていましたが、本当に早かった(泣)
ずっと続いてほしいと思う、稽古から本番でした。
尊い時間でした。

稽古場にも盆(回る舞台)をセッティングして、本番さながらの稽古をしました。

これがね、鉄の塊やモーターが数多く必要なんですが、どれも重いの(泣)
演劇部にも手伝ってもらって、おじさんたち老体に鞭打ちながら頑張りましたよ。
これも全ては本番でお客様に喜んで頂くため!
でもその甲斐あって、良い稽古ができたのです。

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盆を回すタイミングだったり、速度だったり、細部に拘り稽古しました。
せっかく使うなら、効果的に使いたい。
演出家の西沢栄治さんは、盆が回るのは人の価値観が変わった瞬間。大きなエネルギーが動いたとき。と言われました。
あまり裏話を書くと野暮ったくなるとは思いますが、要は脳の中の一瞬の出来事を盆が回ることで表現しているんです。
ついでに言うと、西沢栄治さんは先月号でも書きましたが、役者に寄り添ってくれる演出家です。
頭ごなしに「違う」なんて絶対に言いません。
芝居に対して、脚本に対して、役者に対して、とても愛情深くリスペクトしている方です。
なので、個人の方向性に関してはそれぞれに時間をかけ、細かく演出されます。
その一方で全体の演出としては、大胆に、なかなか思い付かないようなことを思いっきりチャレンジする。
いやー、素晴らしい演出家さんだと感服いたしました。
大胆さと繊細さを併せ持つ素敵な方でした。

その演出家の元、明けても暮れてもやりました。
とことんやりました。
楽しかった!
大先輩たちが苦しんでいる姿も、楽しそうな姿も…生で見れて感じて、そして僕らも負けじと頑張る。
いい空気しか流れてなかった。
だから、もっともっと稽古したいと心底思いました。
でもね、月日は流れちゃうから(汗)
はじまりあれば、必ず終わりが来るのです。
個人的には、今回かなり苦労しまして、最終の通し稽古でも台詞が出てこなくてプロンプ(違う方にセリフを出してもらうこと)を付けられてしまったのです。
これは長い演劇人生でも初めてのことでした。
悔しさと不安が募りました。
でも、幕は待ってくれませんから、時間ある限り台本と睨めっこ。そして最後は己を信じる!

そして、小屋入り。

あの重い盆をまた運びます(汗)本多劇場の大階段が足にくるのよ(泣)

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本多劇場の前席をとっぱらい…
特別ステージを組みました。

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ただの張り出し舞台は過去にもあれど、四面囲み、さらにはステージ上に客席を作ったのはゴツプロ!が【初】です。
本多劇場40年の歴史でもこれが初なんです。
やってやりましたよ。
だって【初】って嬉しいじゃん(笑)

こうしていよいよ開幕です。
一年越しに帰ってきました本多劇場。
たくさんの想いを抱えて…
去年の同じ時期、緊急事態宣言により途中で中止となり、最後の日みんなで涙したカーテンコール。主宰の塚原大助がカーテンコールで言葉にならず、ただただ涙し、最後にまたここに帰ってきます。と告げた日から一年。
去年自分が書いた文章を読み返し、いろんな想いを我慢していた自分にも気付きました。
無観客公演のこと…今だから言えるけど、本当に辛かった。
反応のない客席、一方通行のエネルギー放出、無音のカーテンコール。
これはね、何とも言えない寂しさと侘しさがありました。
エネルギーを発しても返ってくるエネルギーがないから、めちゃくちゃ疲れるんです。
舞台ってやっぱりお客様あってのものだと痛感したあの日から一年。
去年は「あっちにいく前に。」も中止となりました。
悶々とする日々を送りました。
とにかくお客様の前でやりたい。
公演を最後までやり抜きたい!
その想いだけで一年頑張ってきました。
そして、迎えた初日。
四面囲み、あの緊張感、高揚感、ヒリヒリ感。
舞台に立っている。演っている。お客様と同じ時間と空気を共有している。
なんとも言えない気持ちが沸々と湧き起こりました。

カーテンコール。

あたたかな拍手とお客さまの笑顔。気持ち、エネルギー。
本当に嬉しかった。
袖に帰り、涙しました。
皆様に言いたい!
本当に感動の時間をありがとうございました。
舞台は僕らが一方通行でやっているのではないんです。
お客様と一緒に呼吸し、盛り上がり、一緒に作り上げていく。
だから、劇場でしか味わえない「生」があるんです。
千穐楽の前日にカーテンコールでトリプルを頂きました。
その時に自然と僕らキャストはお客様に向け拍手を送っていました。
まさに舞台です。
お客様が楽しんで、真剣に見てくれて、反応してくれるから芝居がどんどん上がっていく。
なんとも言えない空間を味わいました。

アフタートークショーでは、撮影タイムを設けさせてもらい、劇中2回しか回らない盆を劇中より多く回しました(笑)

ちと恥ずかしかったけど、おじさんたちちょっとしたスター気分を味わいました(笑)
一瞬一瞬が眩しくて、大事な時間だった。
一日二回公演は気合いでやり切った(笑)
休演日なしの10日間。肉体的にはもちろん疲れはあったけど、お客様の前に立てる喜びが大きすぎて、我武者羅に駆け抜けた。

何より、一人もコロナにならず、大きな問題もなく千穐楽までこれたことが奇跡。
普通に幕が開き、幕が降りる時代では無くなってしまった。
演劇だけに限らず、やること、動くことがリスクの方が大きくなってしまった。
でも、動かないと何も始まらない。

去年の5月5日子供の日【向こうの果ての果て】をやった時、僕たちは次に進むために、これを必死にやって成功させようと決めました。
あの日があったから、今回のこの千穐楽がある!!!

四方からのスタンディグオベーション!!!
やったー!
やったぞー!
今この写真を見てるだけでも、また涙が出てくる(涙)
最高にして最幸でした。
一生忘れられない光景と熱と拍手と笑顔がそこにありました。
芝居やってきてよかった。
続けてきてよかった。
道を疑わず、前だけを見据えて、踏ん張ってよかった!

この上ない千穐楽でした。
もう一回言わせてください。
皆様、感動の瞬間をありがとうございました!!

あの日がなければ…
コロナがなければ…
演劇に出会ってなければ…
信じて進んでなかったら…

本多劇場であの感動は感じられなかったかも知れない?!

見れなかった方のために少し劇中の写真を載せます!!

演劇界のレジェンド、文学座 小林勝也氏。
読売演劇賞を3回受賞。
この方とご一緒できたのはまさに宝。
ありがとうございました。

これまた憧れの先輩 山本亨氏。
これまでずっと見てきました。
まさか、ご一緒できるとは、芝居に真摯に向き合う姿勢には頭が下がります。
ありがとうございました。

IMG_0369

ワハハ本舗 佐藤正宏氏。
コメディ要素と抜群の技術。
そして芝居の奥深さ。たくさんのことを学ばせてもらいました。
ありがとうございました。

佐藤達氏。
あの役をあんな風に?!
おそらく十二人〜誰もやったことのない陪審員2号だったと思います。
みんなに愛される達さん。
ありがとうございました。

ゴツプロ!3回目の出演 関口アナン。
去年、ともに辛い想いを味わったね。
無観客のステージ終わった後に人知れず泣いていたね。
アナン、お疲れ様。
ありがとう!

IMG_0385

ゴツプロ!初参加の三津谷亮くん。
出来上がったカンパニーに、しかも先輩ばかりの中に飛び込み、やりにくいところもいっぱいあったと思うけど、その中でも自分のやりたい芝居をしっかり貫く姿はさすがでした。
ありがとうございました。

IMG_0387

椿組 木下藤次郎氏。
まさに【職人】という言葉がぴったり。
少ない出番ながら、稽古場も早くから入って準備し、ものすごい存在感を発揮されたのはさすがの一言です。
藤次郎さんがこの役をやって頂いたお陰でこの作品は二つも三つも格が上がったと思います。
本当にありがとうございました!

芝居は儚いですね。
でも儚いからこそ、輝き、燃え尽きる。
久々の達成感と満足感と、そしてそれ以上の虚無感(ロス)になってます。
これも去年は味わえなかったことなので、しっかり味わって、また次に向け進んでいきたいと思います!

最後にこの公演に携わって頂いた、キャストさん、スタッフさん、お手伝いにきて頂いた皆様、応援してくださった皆様、そしてご来場頂きました全てのお客様に、ゴツプロ!一同最大の感謝を込めて…本当にありがとうございました!

これからのゴツプロ!にご期待ください。
今後ともゴツプロ!を何卒よろしくお願いいたします。

 

つづく…

泉 知束Tomochica Izumi

1994年より、日活芸術学院俳優科で演技を学ぶ。
1996年、劇団「麦」公演で役者デビュー。
2000年、演劇ユニット「Team Chica」を旗揚げし、主宰・作・演出・主演を務めている。
また、2005年樽沢監督作品「月桂哀歌」で映画脚本を手掛け、俳優業だけに留まらず、
マルチな才能を発揮している。
月刊ゴツプロ!の執筆を行なっている。

泉 知束Tomochica Izumi

1994年より、日活芸術学院俳優科で演技を学ぶ。
1996年、劇団「麦」公演で役者デビュー。
2000年、演劇ユニット「Team Chica」を旗揚げし、主宰・作・演出・主演を務めている。
また、2005年樽沢監督作品「月桂哀歌」で映画脚本を手掛け、俳優業だけに留まらず、マルチな才能を発揮している。
月刊ゴツプロ!の執筆を行なっている。