8月号 『佐藤正和の挑戦がはじまる!』

【佐藤正和の挑戦がはじまる!】

みなさんこんにちは。
お元気にお過ごしですか?
自分はすっかりコロナも抜けて、完全復活です。
朝晩はだいぶ気温も下がり過ごしやすくなってきましたね。
少しずつ秋の気配を感じます。
自分的には甲子園が終わると、夏が終わるなって感じます。
みなさんもありますか?
何かを感じ夏の終わりを悟る瞬間。
少しだけ寂しい気持ちを感じる夏の終わり…

そんな夏の終わりに、メンバーの佐藤正和は青春真っ只中。
いよいよはじまる 青春の会 【父と暮せば】

たった二人で全国四ヶ所での公演。

先月はメンバー浜谷康幸の挑戦。
BOND52【山笑う】、そして今月から青春の会【父と暮せば】です。
まさにゴツプロ!の夏!!!
メンバーとしても嬉しい限り。
去年8月の『月刊ゴツプロ!』を読み返したんですが、去年の今頃は【あっちにいく前に。】の執筆や準備をしていました。

早いですね。
あれから一年です。
去年は夏らしいことを何もできず、我慢して、パソコンと向き合う日々でした。
それが、中止になった時のあの感覚。いまだに忘れられません。
昨年は本公演含め、2本も悔しい思いをした我々ですが、今年はありがたいことにこれまでなんとか無事に公演を行うことができています。
しかし、いまだに状況は変わらず、周りでも多くの中止を耳にし、心が痛みます。
そんな中での佐藤正和の挑戦。
なんとか無事に完走することを願うばかり!!

ちょっと前に稽古場にも陣中お見舞いに行ってきました。
まだご観劇をお悩みの方もいらっしゃると思うので、自分が感じた感想を少し。

井上ひさし作 名作【父と暮せば】
こちら、実は映画しか見たことなく、今回初めて通し稽古で見させてもらいました。
まずなんと言っても脚本が素晴らしい。
ユーモアもありながら、残酷さもあり、心に響きまくります。
登場人物は父と娘の二人。
戦争、原爆の悲惨さを伝えながらも、親子の普遍的愛情を描いた作品。
いやー、やっぱりすごい本だわ。
そして演者の力が試される本です。
今回「劇団道学先生」主宰の青山勝氏が演出を担当。
青山さんらしい繊細で芯をくった見事な演出が冴え渡っておりました。

そこに役者二人が必死に食らい付いてました。
なんせ、二人芝居でずっと出ずっぱりの1時間20分ですから。
休む隙がありません。
そして、心が休まる瞬間のない脚本。
誰かをずっと想い続ける脚本。
これは疲れるわ。
いやはや、稽古場にピーンと張り詰めた空気が流れていました。
こりゃすごいわ。
この見学時、稽古終了の一週間以上前ですから。

ここにセットが立ち上がり、照明が当たり、音が入り、そして最後にお客様の熱が加わったら、楽しみでしかない。

そして先日、劇場仕込みのお手伝いに行ってきました。

ちらほらメンバーの顔も見えますね。
僕らいいおっさんがわちゃわちゃ騒いでおります。
はじめの2時間ほど(笑)

お察しの通り、すぐに疲れてしまいます(汗)
それでも僕らいいおっさんは劇場が大好き。

新の劇場にセットが立ち、照明が吊るされ、音が鳴る。
ワクワクしかありません。
今回も美術はいつもゴツプロ!本公演でもお世話になっている田中敏恵さん。
素敵なセットが立ちましたよ。

そして主演の二人は良いお顔。
さてさて本日初日。幸先よくビシッと決めてください。
そして、広島、大阪、大牟田付近にお住まいの皆様、ぜひ劇場に。
他のゴツプロ!メンバーにも会えるかも知れませんよ!!

いやーしかし、ここからはじまる全国四カ所のツアー。
ワクワクはもちろんですが、佐藤正和の覚悟といろんな想いが入り混じっているんではないでしょうか?
まずね、劇場入りしてからの雰囲気!以前自分が演出をさせてもらった【仮面夫婦の鑑】とは明らかに違いますから。
もちろん作風も全然違うから当たり前ですが、当然大変さの度合いで言ってもこれまでにない規模だと思います。
何度も地方に足を運び、宣伝活動や準備などを行い、満を持しての東京初日。

佐藤正和(通称アビさん)が今、どんな想いを抱えているのか?!
生まれ故郷の大牟田凱旋公演。
自分のことになってしまうのですが、自分も一度だけ地元熊本で凱旋公演をやらせてもらいました。
もう10年前ですかね。
ここでも何度か触れたことがあると思いますが…
36歳の時でした。
熊本で育った18年、そして上京して18年、ちょうど半分半分になった36歳の時に行った公演でした。

東京、大阪、そして熊本の三カ所ツアー。
自身プロデュース初の地方。そして熊本。
忘れられない公演です。
アビさん、大牟田でどんな想いを感じるのかな?

僕ら地方出身者にとって、地元公演はやはり特別なものがあります。
田舎で、「あいつ東京行ってなんしよっとかね?」「生きとるとかね?」
そんな方々に、「僕、こんなことをやってます。」それを披露できる数少ない機会。
この時期、自分的にも色々と考える時期だったんだと思います。
後悔のない役者人生にしたいと思った時に、絶対地元でやりたいって思いがありました。
まずはそれを達成して次を見つけよう!
もしかしたらこれで燃え尽きてしまうかもしれない。
それはそれでよし!そんな想いを抱えて必死に走りました。
大変なことも、知らないこともたくさんありました。

生きていく中で、役者人生の中でターニングポイントだったと後に思う時期がいくつかある中で、この公演はまさにその一つです。
東京公演を終えて、大阪へ移動し、たくさんの出会いと感動をもらって、いざ最後の地。
熊本。
市内のホテルに宿泊していたのですが、劇場までの道のりが小学校の頃に通っていた道でして。

熊本城を眺めながらいろんなことが蘇りなんとも言えない気持ちになったのを覚えています。
早朝にこの道を歩くことなんておそらく小学校以来。
自分のルーツを感じながら、いろんな人の顔が浮かびました。
そして、なんといってもたくさんの地元の方々が手伝ってくれました。
事前の準備、集客、当日のお弁当、仕込みにバラしまで。
同級生に先輩、後輩、仕事仲間から家族、親戚まで総出で。
これは嬉しかった。
たくさんの方が楽屋見舞いにご挨拶に来てくれるのですが、皆さんご祝儀をくださるんです。
そして口々に「公演おめでとう!」と言ってくれるんです。
東京では毎日たくさんのお芝居が公演されていて、僕らも公演を打つことがどこか当たり前になっていた時に、皆さんから頂いたこの、おめでとう!という言葉がたくさんの気づきになりました。
芝居を打つ=当たり前ではなく、尊いものなんだってこと。
自分が18年続けてきたことを初めてお披露目できた瞬間。
初日から泣いてしまいました。
あの鳴り止まない拍手に心から感謝しました。
そんな地元公演。
アビさんに全部終わったら色々聞いてみたい。
でも、結構照れ屋だからはぐらかされるかな(笑)

ちなみにこの「風ながるる」公演。
ゴツプロ!メンバーの浜谷康幸さんにも出演してもらっています。
10年前の浜谷さん!

そしてこっちが10年前の自分。

金髪って(笑)
どうですか?二人若いですかね?

いやー懐かしい。

震災前の熊本城。
精一杯走り抜けた36歳。

今月は手前話ばかりですいません。
アビさんのツアーを前に色々なことを思い出してしまい。
今回地元大牟田で凱旋公演する佐藤正和氏に心よりエールを送ります!!
頑張れーアビさん!!!

田舎があったからこそ…
いくつもの山を越えてきたからこそ…
たくさんのターニングポイントで迷ったからこそ…
いまこの時の環境があったからこそ…

言葉では言い表せない、ご褒美のような体験ができるのかも知れない?!

さあ、そんな青春体験!
皆様、もう一度言わせてください。
応援のほど何卒よろしくお願い致します。

そして、最後に!先日情報解禁になりましたので、こちらでも。
私、泉知束 11月に演出をやらせていただきます。

今年4本目の演出です。
まさか今年こんなに演出することになるとは。
でも、お話頂けることは本当に嬉しいです!
いろんなジャンルの方々が大集合。
どんな作品になるのか?!乞うご期待です。
ゴツプロ!テイストとは真逆の作品になると思いますが、一生懸命に創作したいと思います。
こちらも応援して頂けましたら幸いです。

9月も盛り上がっていきましょうねー!!

 

つづく…

泉 知束Tomochica Izumi

1994年より、日活芸術学院俳優科で演技を学ぶ。
1996年、劇団「麦」公演で役者デビュー。
2000年、演劇ユニット「Team Chica」を旗揚げし、主宰・作・演出・主演を務めている。
また、2005年樽沢監督作品「月桂哀歌」で映画脚本を手掛け、俳優業だけに留まらず、
マルチな才能を発揮している。
月刊ゴツプロ!の執筆を行なっている。

泉 知束Tomochica Izumi

1994年より、日活芸術学院俳優科で演技を学ぶ。
1996年、劇団「麦」公演で役者デビュー。
2000年、演劇ユニット「Team Chica」を旗揚げし、主宰・作・演出・主演を務めている。
また、2005年樽沢監督作品「月桂哀歌」で映画脚本を手掛け、俳優業だけに留まらず、マルチな才能を発揮している。
月刊ゴツプロ!の執筆を行なっている。